人材紹介のやりがい②~ひっくり返す~
シリーズ連載第2弾。
人材紹介をやっていると、同じような求人はあっても、
その決定一つ一つは異なります。
それゆえ人材の営業を経験した方というのは多方面で活躍できるのかも知れませんね。
そんなわけで思い出に残る縁づくり第2弾です。
とある企業からの依頼で、技術営業のオーダーをいただきました。
医薬品の試験を受託する大手の企業だったのですが、受託側として医薬品メーカーとやり取りをすることから、医薬品関連で知見を持っている方がターゲットでした。
研究をされていた方は、引き続き研究や試験をする職に就きたいという方が多いので、
なかなか募集が集まっていない状況でした。
ーーー時は同じころ。
求職者へのアドバイザー業務を始めてしばらくたったある日のこと。
面談した方はなんと実家で靴箱を作っている方でした。
(実際は靴箱ではないですがかなり近いです笑)
以前は大手の企業で医薬品の試験責任者を経験されていたのですが、実家の手伝いをする必要がなくなったので、企業でまた就業をしたいとご相談に来られました。
しかし、数年のブランクがあり研究職としては書類が通りません。
そんなタイミングもあり「この求人なら企業も通してくれるだろう」とおもい、先述の求人を紹介したのでした。
「是非とも挑戦したいです」
とのことで、さっそく書類選考開始。
「ブランクはありますが、試験責任者の経験があるので、まずは会ってみてください」と先方への紹介文面には記載させていただきました。
以前に実績があった企業だったのでまずは面接の場を設定していただくことに。
1次面接が終わった後、意気揚々と企業の方へ連絡し、感触を確かめます。
しかし・・・
「経歴は悪くないですが、営業向きの方とは思えませんでしたねー」
という反応。
しかし、ここで終わっては紹介業の意味がありません。
「これだけの経験をお持ちの方がこのポジションに応募していただけることってなかなかないですよ!?もう一度面接して判断していただけませんか!」
と、食い下がる。
先方もかなり迷ったようですが、結果的に最終面接に進めることとなりました。
さて、面接が進んだはいいものの、このままだとたぶん最終面接でお見送りになってしまうでしょう。
1次面接のフィードバックを基に、
「次の面接では明るく、営業向きのイメージをお願いします。できる限りでいいです。」
「髪を切ってさわやかにしていきましょう!イメージ戦略も重要です!」
と、徹底的に対策を進めていきます。
迎えた最終面接。
終わりと同時に候補者の方に連絡。
行きたいという思いは変わらない。
それならばと、準備していたお礼状の送付を行います。
※お礼状とは…
企業へ面接のお礼をしたためた文章。実際は「内定が出たら絶対行くから、内定お願いします!」という意味がある。
そして、企業へ連絡。
「まだ確定ではないですが、いい方向です。営業適正はわかりませんが、意欲を買いたいと思います。」
淡々とした言い方だったが、これは良い方向だと感じました。
そして数日後、企業から内定通知書が届き、無事にその職場へと決定となりました。
文章にしてみるとなんてことないように思えますが、たぶんそのまま先方のフィードバックを聞き流していたら、
たぶんこの方はお見送りになっていたと思います。
でも、「絶対にこの人が入った方がいい!」と思い、アクションをとり、
間に入るものとして縁を作り出すことができました。
おこがましいかもしれないですが、自分がいたからこそ決まった案件だと思います。
人材業界でよく言われる”介在価値”というやつだですね。
早期退職をしたという話も聞こえないので、まだ頑張ってくれていると思います。
切れそうな円を結びなおすことも我々の仕事であると思います。